部屋の整理をしていたら、3年前のスクラップが出てきた。東京都勤労者山岳連盟の老人たちの無謀でダラシナイ(自分たちで救助できない)登山のために、30代の若い、恐らく家庭も妻も子供もいたであろう男たちが5人も死んだ事件である。
この無謀でダラシナイ老人の「仲間」が、結局のところ、三浦雄一郎という男であり、彼らのやっている登山は、他人を苦しめる愚劣な<サル登山>と呼ばれるべきなのだと思う。
より引用する。
山で遭難したら、救助依頼をすべきなのだろうか?
つくずくそう思ってしまった。
この7月24日に秩父山系ブドウ沢の1100m付近で沢登を行っていた東京都勤労者山岳連盟の8人のパーティーのうち一人の女性(55歳)が滝つぼに転落し救助を求めた。
その救援に向かった防災ヘリが救援に失敗し谷底に墜落して救助隊員5人の命が失われた。
注)救助を求めた女性も死亡した。なおヘリの出動は連絡を受けた25日。
この埼玉県の防災ヘリには7名の乗員がいたが、埼玉県防災航空隊員2名、秩父消防署特別救助隊員1名、それと機長および副機長が殉職し、降下をしていた2名の隊員は命が助かった。
死亡した5名は、機長を除くとほとんどが30台の若者であり、あまりにも早すぎる人生の終わり方で痛ましい。
私が沢登りをしていたのは、私自身が30才台の頃だから、今から30年前の昔になる。
丹沢や奥多摩、そして今回事故が起こった奥秩父の沢に入っていた。
私の場合、沢にはほとんど一人で入っていたし、当時は携帯電話はなかったので(今でも使用していない)、事故が起こればすべて自己責任で対処するより仕方がなかった。
実際私も滝つぼに落ちたことがあるが、身体が一旦深くもぐり、かぶっていた黄色い帽子が水面に浮かんでおり、それがあたかも満月のように見えたのを覚えている。
異様な不思議な時間で、自分が滝つぼに落ちたことを認識するまでしばらく時間がかかった。その後我に返って慌てふためいて泳いだものだ。
沢登りはもともとかなり危険なスポーツであり、事故と隣り合わせにある。
まず、事故が起こらないように技能と体力を高めておくことが一番だが、もし事故が発生した場合、パーティーを組んでいるならばそのパーティーが滑落者を助けなければいけない。
県警等に救助を依頼するのは最後の手段になるが、私自身は絶対に救助を依頼しないことにしていた。
もし不幸にして死亡することがあっても、それは沢登りと言う危険なスポーツに挑戦した結果だから、救助されるぐらいならば死んだほうがましだと思っていたからだ。
沢は大変危険な場所である。日本の沢は一般的に深く、V字型に切れ込んでおり、100m程度の切れ込みはざらにある。
尾根筋と異なり、ヘリコプターが容易に近づける場所ではない。
無理して救助しようとするとヘリコプター自身が事故に会って、二重遭難になる可能性が高い。
まさに今回はそうした事例で、若い命が無駄に5名も失われてしまった。
今回このパーティーは県警に救助依頼をしたのだが、なぜ自分たちで救助をしなかったか不思議でならない。
沢に入っているのだから一番近い場所におり、ロープも持っていたはずだ。
パーティーを組んでいた東京都勤労者山岳連盟の他の7名は一体何をしていたのだろうか。
注)もしかしたら救助はしたが重症だったのでヘリを呼んだのかもしれないが、私だったら重症者を担いで下山する。
今回のヘリの墜落原因はヘリが自ら起こす下降気流に巻き込まれたセットリング・ウイズ・パワーという現象だといわれているが、谷筋のような険しい環境では逃れるすべがなかったのだろう。
中高年の登山ブームで救援依頼は激増していると聞く。最近登った南アルプス北岳の稜線で2回も救助ヘリに遭遇してしまった。
尾根筋の登山道ぐらいは骨折などしないで登ってほしいものだが、実際は事故が多発している。
だが尾根筋はまだいい。ヘリが安全に救助できるからだ。一方谷筋のような場所はヘリもいつ二重遭難するか分からない。
このような場所で沢登をするなら、何度も言うように自己責任で対処し、他人の命まで犠牲にするようなまねはしてほしくないものだ。
(引用終わり)