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2016年3月27日日曜日

恥ずかしいような話だけど旅行は諦めました

 私は神も来世も信じないし、言葉はあまり好きではないけれども定義上は
「唯物論者」
 ということになると思う。
 ……しかし、それとこれとは話が違う。

 で、具体的に何のことかと言うと……


 九州旅行は楽しかった。何よりも、飛行機に乗って、宿も観光地も全ての手配を旅行会社に任せて、何も考えずにのほほんと旅をしていればいいのだから、こんな楽な旅はない。

 いつも一人で、あるいは友人と二人で、フェリーや宿やその他のあれこれを考えながら、移動時間や駐車場や事故や事件にピリピリしながら旅行をしているのだけれども、団体旅行に潜り込んでしまえば、こんなに楽に観光ができるということを久しぶりに実感させてもらえた、というか、思い出させてくれた。
 だから、旅行から戻り、ポストに旅行案内の封書を見つけ、中を開いて旅行内容を知ったときには、ラッキー、と唇から思わず言葉が漏れた。

 本州の某都市への4泊5日の「美術館巡りツアー」。

 毎日2つか3つの美術館を歩き、他にも国宝の寺社仏閣建築物などを巡る。その都市のホテルに4連泊して、送り迎えは全て観光バス。しかも全行程食事付き。自由時間が無いのは残念だけども、これだけ充実した美術館ツアーは滅多にない。
 早速、旅行会社に電話した。
 しかし、「まだ受付期間にはなっていないんです」と女性の声。そう、この美術館ツアーは4月に入ってから4日間だけ旅行申し込みを受け付ける、そうパンフレットにもちゃんと印刷されていた。
 ということで、電話を置き、来月の受付期間になったなら早速申し込むつもりでいた……先ほどまでは。

 で、今日、自分のこのブログの「統計」のところを眺めていて、現在時刻のところを見た。この「現在時刻」の統計を見ると、直近2時間にどのエントリー記事に多くのアクセスがあったのかを知ることができる。直近2時間の人気トップ10記事を知ることができるのである。

 たまに、そのトップ10の中に、以下のエントリーが入っていることがある。今日見たときもそうだった。

http://restfultime.blogspot.jp/2014/04/blog-post_9098.html


 この2014年4月19日のブログの中でリンクを張っている、「事故物件サイト」に、何気なくアクセスしてみた。
 本当に、何気なく、何の理由もなく、勝手に手が動いてクリックした。
 そういえば……美術館巡りツアーでは、同じホテルに4連泊もする。
 ふと、そのホテルは大丈夫かな……と脳裏に不安が掠めた。
 その都市の地図を拡大し、そのホテルを探した。
 おやおや、なんと、炎のマークが出ているではないか。
 なになに……
「×年に12階の部屋のベランダから男性が飛び降り自殺」、か……。

 微妙である。
 部屋で縊死した、とか、部屋で殺人とか、部屋で無理心中、といったものではない。
 ベランダから飛び降り自殺である。
 しかし、こんなシーンが頭に浮かぶ。
 ツアーでこのホテルに到着する。ツアーコンダクター(添乗員)が、笑顔で、このホテルのロビーで、私に4つの夜を過ごす部屋の鍵かカードキーを渡す、こう言いながら。
「はい、松浦さんは12階の××号室ですよ」
 私も笑みを浮かべるが、もちろんそれは引きつった笑みである。
 シングルルームに入る。不気味な雰囲気。
 酒を飲んで無理やり寝る、この際痛風発作の再発などしったことではない。
 しかし、真夜中にふと何か気配を感じて目をさます、さましてしまう。
 中途半端に明るいルームライトを付ける。
 部屋に誰かいる、わけではない。
 すると、コン、コン、と窓を軽く叩く音。
 心臓が口から飛び出しそうになるけれども、足と手は自分の意志とは真逆に動いてしまう。
 窓に寄り、カーテンをグィと引くと、ベランダの向こうにはこちらをじっと見ている男の、目が空洞になっている顔があった。
 ヒェーー
 ……と、こんな調子の妄想。
 その都市から1000キロも離れた昼間の札幌でもこんな妄想に苦しめられるというのだから、本当にそのホテルのシングルルームで4つの夜をやり過ごす……なんてことは、完全に不可能。無理、絶対。
 マツコ・デラックスが9号のドレスを着るのと同じくらい絶対不可能。
 無神論者の風上にも置けない阿呆、と罵られてもいい。
 それでも唯物論者を名乗れるのか、と嘲られてもいい。
 君子危うきに近寄らず、松浦事故物件に近寄らず、である。
 ということで、4泊5日の美術館巡りツアーは、泣く泣く断念することにしたのだった。


 ついでに事故物件サイトで、先日泊まってきた3つのホテル、

ホテルオークラJRハウステンボス
モントレー長崎
エクセルホテル東急博多
 を調べてみたけれども、3つとも事故物件にはなってはいなかった。


 お気楽団体旅行では、ホテルを指定することはできない。
 ところで、この旅行に参加することになるであろう30人か40人の人たちは、自分たちが4泊することになっているホテルが、「事故物件」であることを知っていて申し込むのだろうか……。
 まぁ、参加しない・臆病な私にはもうどうでもいいことだけれども。