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2014年7月30日水曜日

定年退職者と夏休み

 昨日、函館の登山仲間Nと電話で話していると、Nの愚痴を聞かされた。
 定年退職して、家の中でゴロゴロしていても、時間をどうしても持て余してしまう。だから、山登りをしたり、山菜取りをしたり、たまにはパチンコ屋とか競輪競馬ということで時間を潰す。函館は、まったくそういった「趣味」に適した街である。
 しかし、彼が最も好む時間の潰し方は、ベタだが、温泉である。
 函館近郊、あるいは市内にも、日帰りで楽しむことのできる「大型温泉施設」が幾つかある。
 何しろ、市内に湯の川温泉とか、函館山の麓には谷地頭温泉とかがあり、温泉の豊富な街である。
 で、いつも行く温泉施設へ先日Nは行ってきたのだという。
 しかし、彼は忘れていたことが一つあった。
 つまり、もう、残念ながら、「小学校の夏休みに入っ」てしまっているという現実。
 夏休みになると、小さな子供たちを連れた奥さん連中が、「御誘い合わせで」どっと日帰り温泉施設に繰り出すのである。
 亭主は働いている。
 子供は家でうるさい。
 ということで、冷房も効いている、食事も取れる、子供の遊び場もある、子連れの主婦にとっては「楽園」のようなこの温泉施設に、ママたち子供たちがやってくる時期になってしまっていた。
 温泉施設の中は、子供の叫び声、ママたちの井戸端会議の声、子供の駆け回る足音、ママたちが休憩室を占領する物理的圧迫感、などなどで、定年退職者が一日を安穏に過ごすという小さな夢を実現するには適さない環境となってしまっているのである。
「山菜の季節は終わったし、登山ったって暑いし(函館周辺には低山しかない)、パチンコでは金がすぐなくなるし、せっかく温泉でのんびり休もうとしたのに、ともかく、夏休みが終わるまでは温泉を諦めるしかないよ」
 と、Nは嘆いていた。

 定年退職して家にいると、こうして、いろいろなものに影響を受けて生きてゆくのだな、という感想を持った。
 ちなみに、夕方になると、ママたちと子供たちは潮が退くようにいなくなるのだという。帰宅するパパたちは、ママと子供が一日中温泉施設で「プハーッ」としていた、という事実は知らないようである。あるいは、知っていても文句を言わずに働くことが、日本人の父親の良いところなのかもしれない。