ページ

2014年6月13日金曜日

禁忌を平気で無視する世界

死刑願望の医師、患者の透析チューブ引き抜く
2014年06月12日 15時47分 読売新聞
 人工透析中の男性患者の透析チューブを引き抜き、殺害しようとしたとして、警視庁町田署は12日、東京都町田市中町の「あけぼの第二クリニック」所長で、腎臓内科医師の橋爪健次郎容疑者(49)(東京都町田市小川)を殺人未遂の疑いで逮捕した。
 橋爪容疑者は調べに対し、「相手は誰でも良かった。死刑になりたかった」と話しているという。男性は自分ですぐに異変に気づき処置され、命に別条はなかった。
 発表によると、橋爪容疑者は11日午後8時20分頃、同クリニック3階の人工透析室で、人工透析をしていた50歳代の男性患者の透析チューブを引き抜き、殺害しようとした疑い。
 橋爪容疑者は事件直後に、自分で車を運転して同署に出頭。その際、着ていた普段着には血液が付着していたという。
 橋爪容疑者は男性の担当医。人工透析の装置側につながっている透析チューブを引き抜き、そのまま部屋を出て行ったという。男性は血液が流れ出していることに気づき、近くの医療スタッフが処置するなどし無事だった。
 同署によると、橋爪容疑者は当日、出勤日だったとみられる。事件があった人工透析室には当時、約10人の患者が透析を受けていたほか、医療スタッフも複数いた。
 同クリニックの職員は読売新聞の取材に「詳細な状況は説明できない」と話している。
 同クリニックは、外来で血液透析を専門に行う施設として、1999年に開設された。2010年には、人工透析中の女性(当時73歳)が大量出血して死亡した事故があり、勤務していた男性看護師が今年2月、業務上過失致死の疑いで東京地検立川支部に書類送検されている。
 週3回人工透析に通う町田市の女性(72)は「1年5か月前から橋爪先生が担当だった。血圧などを測ると、『高めなのでお薬出しましょうね』と優しい口調で、丁寧に診察してくれた。2日前にも会ったが、変わった様子はなかった」とし「悪いうわさも聞いたことはない。悩んでいる様子もなく、信じられない」と話していた。
2014年06月12日 15時47分 
▲:一人で患者100人を診ていたという。眠れない日々が続いていたという。過労で精神状態がおかしくなっていたのだろうか。雇われ所長・勤務医で、過酷な労働のためにこんなことをしたのだろうか。
PS その後の病院側の声明(?)では、4月から常勤医2人が1人となってはいたが、その分、それまで1人だった非常勤医を3人にした。勤務時間は8時半から5時(?)までであり、過労状態ではない、つまり病院の管理体制に落ち度は無い、とのこと。
 でも、非常勤医の勤務って、具体的にどうなっているのかは不明。医者の仕事は、勤務時間の問題であるよりも「中身の濃さ」の問題なんだけど、50人から100人(?)の透析患者を1人(透析技師が何人いてどの程度の技量なのかも不明だけど)の医者が責任を持つ、というのは、大変だったと思う。
 随分前に、日本の透析医療の費用は年間1兆円を超えていたと思う。これほど透析をやっている国は、世界で日本だけ――の異様な状態なのである。
 透析に入ると、5年で4割、10年で6割5分、の患者が死亡している。
http://docs.jsdt.or.jp/overview/pdf2013/p024.pdf



「対応に安心感」「幸せそうな家庭」…エリート医師に何が? 透析チューブ引き抜き
2014.6.12 21:36 産経新聞
 透析治療中の男性患者のチューブを引き抜いて殺害しようとしたとして、警視庁町田署に殺人未遂の疑いで逮捕された「あけぼの第二クリニック」(東京都町田市)所長で医師の橋爪健次郎容疑者(49)=同市小川=。患者の命を奪おうとした動機を「死刑になりたい」と語っている橋爪健次郎容疑者は、親身な治療で患者から慕われ、自宅周辺ではエリート一家として知られていた。住民らは「順風満帆な人生に見えた。なぜこんなことをしてしまったのか」と驚きを隠さない。
 橋爪容疑者は約10年前から町田市内の一軒家で生活。近くの主婦は「妻も医師で、娘は都心の有名女子高に通っていると聞いた。外国車で娘を駅まで送り迎えするなど、とても幸せな家庭に見えた」と話す。
 クリニックの患者らも「おとなしく、親身に相談に乗ってくれる医師だった」と口をそろえる。2年前から橋爪容疑者の人工透析を受ける男性患者(78)は「いつもていねいな対応で安心感があったのに…」と首をかしげる。
 ただ、4月ごろに別の医師が辞め、人工透析担当の常勤医が橋爪容疑者だけになっていたという。男性患者(60)は「看護師が『橋爪容疑者の仕事が大変そうだ』と話していた。疲れがたまっていたのかもしれない」と打ち明ける。
 「半年ほど前から眠れず、最近は仕事が手につかなかった」。橋爪容疑者はこう供述しているという。


禁止鎮静剤投与:63人使用後12人死亡 因果関係調査へ

毎日新聞 2014年06月12日 11時54分(最終更新 06月12日 15時20分)
 東京女子医大病院(東京都新宿区)で今年2月、小児への使用が禁じられている鎮静剤を投与された2歳男児が死亡した医療事故で、死亡した男児と同様に禁止薬を投与された63人のうち、12人が死亡していたことが分かった。同大の吉岡俊正理事長と永井厚志病院長が12日、厚生労働省で記者会見して明らかにした。理事長らは男児の死亡と投与の因果関係は「あったとみている」と認める一方、12人の多くは感染症で亡くなったと説明した。今後、外部の専門家らも加えた調査チームを設置して因果関係を調べる。
 問題となっている鎮静剤は、人工呼吸中の小児への使用が禁止されている「プロポフォール」。死亡した男児は首のリンパ管の手術後に集中治療室(ICU)で4日間投与され死亡した。
 事故後に大学側が同様のケースがないか調査したところ、2009年1月から昨年12月までの約5年間で、15歳未満の63人にプロポフォールが投与されていたことが判明。当初は死亡例はないと公表していたが、さらに調査した結果、新たに12人が死亡していたことが分かったという。
 死亡事故を巡っては、同大学の医学部長らが5日、「病院側が説明責任を果たしていない」として独断で記者会見を開いたが、組織のトップの正式な会見は初めて。吉岡理事長は、男児の死亡について「責任を痛感している。亡くなられたお子様と、ご遺族の皆さまに心からおわびします」と謝罪した。
 また、新たに判明した12人について、永井病院長は「プロポフォールが原因とは考えていない」と述べた。12人のカルテにはプロポフォールの副作用の症状の記載はなく、投与の3年後に死亡したケースもあるとしている。
 男児の死因について、執刀医らはカルテにある「自然死」ではなく、禁止薬を使ったことによる「異状死」と指摘している。これに対し、病院側の弁護士は「男児の体の表面に異常はなく、医師法に基づき警察への届け出が必要な異状死ではなかったと認識している」と説明。事故の内部調査報告書は、遺族の了解が得られていないため公表できないという。【桐野耕一、神保圭作】
 ◇プロポフォール
 主に成人の処置に使用される鎮静剤。即効性があり、手術時の全身麻酔にも使われる。人工呼吸中の小児への使用は禁じられている。2009年に死亡した米国の人気歌手、マイケル・ジャクソンさん(当時50歳)の死因は、プロポフォールの過剰投与だったとされる。
 ◇長野県立こども病院麻酔科の大畑淳部長(小児麻酔)の話
 プロポフォールは、手術のための麻酔薬としてよく使われる。薬の添付文書では、集中治療室で人工呼吸器を付けている小児には使用してはいけないことになっているが、今もこの薬を使っている病院があると聞く。集中治療を受けている子どもは、他の薬剤を投与されたり、病気を持っていたりするため、プロポフォールを使ったことが直接的に死亡につながるかどうかは不明だ。
▲:長野県立こども病院麻酔科の大畑淳の言葉には驚く。だったらなぜ、「禁忌」となっているのだろう? 私は内科医だが、禁忌となっているような薬の使い方は絶対にしないし、もし禁忌薬物を使って事故が起きたら「完全にアウト」である。これが一般的な麻酔科医の考え方なのかどうか知らないけれども、呆れるほど安易に禁忌事項を無視していることに、驚く。
 また、<永井病院長は「プロポフォールが原因とは考えていない」>というけれども、利害関係者が勝手に自分に都合のいいように解釈しているだけではないのだろうか。
 不思議な事件である。

PS 死因は麻酔薬とは関係ないと言っているけれど、たとえば、この麻酔で植物状態となり、その後、1,2年で感染症で死亡しても(少なくない)、それは麻酔薬のせいではなく感染症による死亡だ、というような「テキトーな」「都合の良い」解釈をしているのではないかと、疑ってしまう。

PS プロポフォールは、麻酔科医にとっては患者の状態をコントロールしやすい「切れの良い」薬物なのだろう。ところが、禁忌となっていることが明らかに示唆しているように、「危険な薬物」でもある。他の薬は、この切れの良い薬よりは扱いが面倒だ。だから禁忌を無視してこの薬を使う。みんなもやっている(赤信号みんなで渡れば、ということ)、という「不思議な自己弁護」で、これまで使われてきた。そしてそうした異常な事態を、「現状肯定」で、さも問題が無い・致し方ない、といって居直っている麻酔科医が多い、ということなのだろう。