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2013年7月20日土曜日

ディオパンは要するに他の降圧剤に比較して薬価が高いということ

以下は全て産経新聞のサイトより

「飲み続けていいのか」 不安の患者に臨床現場は怒り
2013.7.13 01:03
 製薬会社「ノバルティスファーマ」(東京)が販売する高血圧治療の降圧剤「ディオバン」(一般名・バルサルタン)の臨床研究で不正なデータ操作があったとした京都府立医大の調査結果を受け、田村憲久厚生労働相は12日、私的諮問機関として臨床研究の不正防止策を検討する委員会を近く設置することを決めた。日本の臨床研究の信頼性を揺るがす今回の事態。進展次第では、医療技術を世界に売り出そうとしている日本の成長戦略にも大きな影を落としそうだ。

独自調査に限界

 高血圧症の患者は血管を流れる血液の圧力が高くなることで血管が傷み、脳卒中や心筋梗塞などの虚血性心疾患になりやすい。厚労省によると、国内の高血圧症の推定患者数は平成23年で約900万人。心臓病と脳卒中は日本人の死因の上位を占めている。

 ディオバンは約100カ国で承認され、ピーク時には世界で6千億円以上の売り上げを記録するなど世界でも一般的な降圧剤。京都府立医大の松原弘明元教授(56)の患者3千人を対象にした臨床研究の論文は、ディオバンが降圧効果だけでなく、他の薬に比べ脳卒中や虚血性心疾患を45%減らせる効果がある-という画期的な内容だった。
 しかし府立医大の調査結果は患者の期待を裏切るものだった。問題の柱は、ノ社の社員(当時)が臨床研究のデータを分析した▽ディオバンが有利となる不正なデータ操作が行われた-というもの。論文には分析担当として、ノ社元社員が大阪市立大非常勤講師の肩書で掲載されたが、ノ社の所属は隠されていた。

 日本循環器学会は12日、「臨床研究の信頼性を揺るがす事態で、深く憂慮せざるを得ない」と批判する見解を公表。研究を実施した府立医大とノ社に詳しい調査と再発防止を求めた。

 ただ、実態解明の鍵を握る元社員は今年5月にノ社を退社、府立医大や大阪市立大の事情聴取は拒否しており、独自調査には限界があるとみられている。

成長戦略に影も

 政府も危機感を抱く。田村厚労相は12日、「革新的な医療技術の実用化を進める中、取り組みの前提となる臨床研究でこのような問題が起こったことは大変遺憾」との談話を発表。再発防止に本格的に乗り出す姿勢を示した。

 医薬品の開発は安倍晋三首相の成長戦略に盛り込まれた重要な柱の一つ。政府が6月に閣議決定した「日本再興戦略」では、革新的な医薬品や医療技術を世界に先駆け実用化し、世界初承認を目指すとされた。
 「不正の影響は大きい。日本での研究は費用はかかるが質は高いというのが世界での評判。しかし、今回の一件は日本の信頼を一気におとしめかねない」。厚労省の担当者はそう嘆く。

 厚労省は、文部科学省と進めている、臨床研究を実施する際の倫理指針の見直し作業の中でもデータ操作問題を検討。臨床研究データの質をどう保証するか、さらに議論を続ける。

残り4大学も…

 府立医大と同様の研究を行っていた4大学は、対応に追われている。

 英医学誌に掲載された論文で問題を指摘された東京慈恵医大は調査委員会で調査しており、「まとまり次第報告する」という。滋賀医科大も5月末に調査を開始。論文にノ社の元社員と思われる名前が大阪市立大の肩書で記載されているといい、「恣意(しい)的なデータ操作が確認されれば研究に関わった教授や大学の威信に関わる問題。詳細を調査する必要がある」とした。

 「これまでの調査では執筆者に元社員は確認されなかったが、論文作成の過程で関与した可能性も残る」というのは名古屋大。千葉大は「調査中で詳細は答えられない」としている。

 臨床現場からも憤りの声があがる。東京都千代田区のクリニック「四谷メディカルキューブ」で高血圧の患者などを診療する加藤辰也副院長(61)は「患者から『飲み続けていいのか』という問い合わせが来ている。降圧効果は確かだが、この状態だと今後は『薬を変えて』という声も出るだろう」と指摘した。

【用語解説】ディオバン

 せきなどの副作用が少ないとされる降圧剤「アンジオテンシンII受容体拮抗(きっこう)薬(ARB)」の一つ。体内物質「アンジオテンシンII」を抑えて血管を広げ、水分や電解質を調整し、血圧を下げる。国内ではノバルティスファーマが販売し、平成24年には1083億円を売り上げた。




京都府立医大の降圧剤問題 京都知事、真相解明無理なら「刑事告発も必要」
2013.7.12 21:10
 高血圧治療薬「バルサルタン」(商品名・ディオバン)を使った京都府立医大の臨床研究の解析データが操作されていた問題で、大学法人設置者の山田啓二京都府知事は12日の定例会見で「関係者から話が聞けないのであれば、できる機関にお願いすべきだ」「犯罪に当たる話なら告発しないといけない」と述べ、真相解明のために刑事告発も視野に入れるよう大学側に求める姿勢を示した。

 同治療薬をめぐる府立医大など5大学の研究には、大阪市立大非常勤講師の肩書を持っていた販売元のノバルティスファーマ(東京)の元社員が関与し、データ解析などを担当した。しかし、元社員は府立医大の事情聴取に応じず、府立医大では研究責任者だった松原弘明元教授ら関係者が全て退職している。

 会見で山田知事は「ディオバンは、高血圧の人なら当たり前に飲んでいる薬。僕は11年くらい飲んでいる」と、自身も府立医大で処方され服用していることを明かし、データ操作について「国民の安全安心にかかわる問題で遺憾だ」と批判した。

 一方、厚生労働省は12日、今回の問題を受け、臨床研究の不正防止策を検討する委員会を近く設置することを決めた。田村憲久厚労相は「データの捏造(ねつぞう)・改(かい)竄(ざん)が強く示唆されるような内容だ」との談話を発表。臨床研究の信頼性が揺らぎかねないとして、再発防止に本格的に乗り出す姿勢を示した。



製薬会社の利益優先し、研究結果歪曲の疑念払拭できず…臨床研究の信頼揺るがす事態 高血圧治療薬めぐる利益相反問題
2013.6.3 08:25 
 京都府立医大(京都市)など5大学による高血圧治療薬「バルサルタン」(商品名・ディオバン)を使った臨床研究に、販売元の製薬会社「ノバルティス」(本社・スイス)の日本法人社員(当時)が身分を明示せずに関わっていた問題が波紋を広げている。製薬会社の利益のために研究結果がゆがめられたのではないかという疑念が払拭できず、研究データの捏造(ねつぞう)などの不正があれば日本の臨床研究のあり方や産学連携そのものが根底から揺らぎかねない深刻な事態になっている。(前田武)

 ■揺らぐ信頼

 「臨床研究の信頼を揺るがせる許し難い行為。二度とあってはならない」

 5月下旬、この問題をめぐって東京都内で開かれた日本医学会の会見で、高久史麿会長は憤りをあらわにし、「日本の医療イノベーションには産学連携が不可欠。今回の問題で臨床研究が停滞することになれば、日本にとって大きなマイナスだ」と危機感を示した。

 研究者が自分の所属する研究機関以外から給与を受け取るなどして、公的な研究の中立、適正な判断に疑問が生じる「利益相反」状態となることは好ましくないとされる。大学と企業が連携して研究を進める機会が増え、利益相反は起きやすくなっているという。

 今回、臨床研究にノ社の日本法人の元社員が加わり、研究内容を発表する論文では非常勤講師を務めていた大阪市立大の肩書を記載するなど、ノ社の所属であることを明らかにしていなかった。

 臨床研究では、高血圧の治療に使われるバルサルタンが、心臓疾患などの発生にどのような影響を与えるのかを調べており、府立医大では平成16年に始まり、心臓疾患などのリスクが減少するとの結果が出た。

 東京慈恵医大、千葉大、名古屋大、滋賀医大でも同様の臨床研究が行わ、いずれもこの元社員が関わっていた。現在、各大学やノ社の本社などが経緯を調べている。

 ■売り上げ1千億円

 バルサルタンは年間1千億円以上を売り上げるノ社の主力商品。ノ社の日本法人は内部調査を行ったが、「会社としての関与やデータ改竄(かいざん)の有無などは判明していない」と説明。バルサルタンそのものは、一連の臨床研究が始まる前の12年に国内で承認されており、「高血圧に対する治療効果や安全性そのものに問題が生じるわけではない」としている。

 一方、ノ社は5大学に対して奨学寄付金を提供しており、府立医大で臨床研究の責任者だった元教授の研究室には21~24年度だけで約1億円を寄付していた。この寄付行為とは関係ないが、元教授らの論文6本は「データに問題がある」などとして国内外の学術誌が相次いで掲載を取り下げた。

 元教授は今年2月、「一身上の都合」として辞職した。元教授をめぐっては、別の研究の論文14本で画像の加工などの不正行為があったことが判明している。

 ■チェックは不可欠

 厚生労働省はノ社に対して、「研究における公正な判断がゆがめられる恐れがある」として、再発防止を求めて行政指導した。

 日本医師会も「現場の医師は研究成果を踏まえて医薬品を使っている。ノ社は早急に説明責任を果たすべきだ」とする見解を発表するなど、影響は広がる一方だ。

 日本生命倫理学会長を務める東洋英和女学院大学の大林雅之教授(生命倫理学)は「産学連携を進めることは重要だが、利益相反についての基準の明確化と、大学当局によるチェック体制が必要だ」としている。